【SS】イベント05 冒険開始!(その3-1)

○参加冒険:失われた黄金探し

○花井柾之(北国人+パイロット+整備士)


山間にある飛行場で軽く訓練と機体のメンテナンスをした帰り道、え~藩国の王・花井柾之は王犬アーサを追いかけて、王城の裏手にある山の中を走っていた。
「おーい、城の近道はこっちだぞー。・・・しょうがないなぁ」
花井は整備道具が入った鞄を肩にかけなおし、アーサが分け入った獣道を進んだ。わふわふ吼えるアーサを見つけると、そこにあったのは人が屈んで入れる位の穴。
「洞窟か?こんなところにあったんだな」
鞄から懐中電灯を取り出して、穴の中を覗いてみた。どうやら奥は天井が高く、かなりの距離があるようだ。
時計を見て、少しだけ考える。時間はたっぷり、服も今はツナギだから汚れてもOK。そして生来のノリの良さが彼の好奇心を後押しした。
「ようしアーサ、探険だ!」
洞窟内を進むこと十数分、花井は景色の変貌に息を呑んだ。
石でできた丈夫な柱が連なり、地面にも薄く切られた石がタイルのように並べられていた。所々で台座のようなものや石像と思われる構造物が壊れていたが、鉄板を組み合わせたような巨大な像など、保存状態の良いものもいくつかあった。
「すごいな、ここ。古代の遺跡とかなのか?」
今度大規模に探検隊を結成して来ようなどと考えながら、更に奥へ進む。すると、壁際で何かが懐中電灯の明かりに反射して黄色く光った。慎重に近寄ってみる。それは壊れた壺からこぼれ出た金貨だった。
「すげぇ!お宝発見だ~!」
アーサと喜びを分かち合う花井。どうやって持ち帰ろうか考えて、彼は鞄から整備用の工具を全部出し、そこに金貨を詰め込んだ。工具はベルトにつけたパーツポケットに入るだけ持って、残りはここに捨てていこうと決めた。
随分重くなった鞄をよっこらせと担いだところで、アーサが突然吼え始めた。
「どうしたアーサ?」
アーサの視線を追う。大きな影が、すぐ後ろまで迫っていた。赤い単眼が光っている。
花井はとっさにアーサを抱き、重さでジャンプできなかったため地面を転がった。直後に振り下ろされる大きな拳。先程見た、鉄の像だった。宝を取られて襲い掛かるあたり、さしずめ遺跡を守るゴーレムと言ったところだろうか。
続く2撃目も転がって回避した。しかしすぐ横には柱と壁。追い詰められてしまっていた。
間髪入れずに3撃目が振り下ろされる。その腕を見ながら、花井はみんなすまん、とつぶやいた。
まさにその時。
茶色い影が、ゴーレムの拳を手首からもぎ取った。バランスを崩すゴーレム。何が起こったか把握できないまま、花井は広い場所まで走り、アーサと荷物を降ろした。それから自分とアーサを救った影の正体を見て、絶句した。
それは1羽の鶏だった。茶色い羽根の色、真っ赤な鶏冠に鋭い眼。その姿はこの国で『福翠地鶏』と呼ばれるそれと同じだった。
「人間と犬か・・・」
更なる衝撃が花井を襲う。地鶏が、人間の言葉を喋っている。
「い、今のはお前がやったのか?」
「ヒヨッコは黙ってな」
「なっ・・・」
「俺たち福翠地鶏は、トサカの生えていないやつを一人前とは認めねぇ」
そう言い放つと、地鶏は再びゴーレムへ突進した。大きな衝撃音、後ろに反り返るゴーレムの体。
花井はぐるぐるしていた。あの地鶏は何なんだ?ありゃきっとこの辺の地鶏を束ねる長だな。人語を話すから、きっとあれは神族だ。HBペンギンみたいな。そうだ地鶏の神様に違いない。
「何をしている人間、早く逃げろ!」
地鶏の言葉にはっと我にかえった花井。今自分にできることを考える。
腰のパーツポケットに手を入れた。
「地鶏の神よ、俺も戦うぞ」
神、と呼ばれて、地鶏は小首を傾げた。だが、すぐに気にするのを止めたようだった。
「ヒヨッコのくせに戦えるのか、人間」
「人間じゃない。それにヒヨッコでもない。俺は花井柾之、この国の藩王だっ!」
地鶏に向けて、ぐっと拳を突き出す。マイナスドライバーが握られていた。その心意気を買ったのか、地鶏はこくりと小さく頷いて言った。
「ならば花井柾之よ。俺は今から奴の脚を叩く。お前は頭にトドメを。赤い眼を狙え」
弾丸のように、ゴーレムの足元に地鶏が飛び込む。ガキン、と音を立てて、鉄の膝が崩れた。
それを受けて花井は跳躍し、ゴーレムの頭頂部まで登った。
「うぉおおおおっ!」
渾身の力を込めて、両手で掴んだドライバーを深く、深く突き刺す。
赤い単眼が、光を失った。
「上出来だ、藩王・花井」
地鶏の声に辺りを見回す。だが、もう何処かへ行ってしまったのか、見つけることはできなかった。
ゴーレムが崩れ始める。花井は慌てて飛び降りると、そのまま彼の王犬の元へ駆け出した。
「アーサ!」
ずっしり重い鞄と一緒にアーサを抱きかかえ、光を目指して走り続ける。やっと外へ出てきたところで花井は振り返って洞窟の奥を見た。赤い光はもう見えない。ふう、と大きな安堵のため息が漏れた。どっかとその場に腰を下ろす。見上げた空は朱に染まり始めていた。
「うわやばい、アーサ、お宝持って早く戻ろう」
傍らの王犬はわふん、と元気に返事をした。
「しかしすごかったな、地鶏の神・・・」
花井は城に戻ったら皆に金貨を見せて、地鶏神の話もしようと決めた。きっと驚いて俺の話に聞き入るだろう。丁度同じ頃、城では重臣達が戻らぬ主を心配し、地獄クッキーやゴージャスハリセンの用意をして帰りを待っているとも知らずに・・・。


○冒険結果: 成功 :得たお宝: F 20資金4億 :ユニークな結果:なし
コメント:遺跡から強奪に成功しました。


(著:一柳 鈴子(robin))

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